ケーススタディというのは、ご存知の人も多いことだと思うけれど、実際の企業の事例を取り上げ、シミュレーションを通じて意思決定や思考の練習をする、ビジネススクールでとても良く用いられている学習方法。
毎回、このケースを読んでくることが課題となるのだが、これがなかなか大変で、慣れないうちはどうしても時間が掛かってしまう。Hultで使っているケースは、比較的短い物が多いが、それでも毎回のリーディングが1科目につき10-20ページ程度なので、最初から最後まで考えながらまじめに読んでしまうと、あっという間に時間が過ぎる。
これが、私が英国でいたときだと1つのケースで30ページくらいあることも決して珍しくなかったので、こうなるとほんとに終わらない。しかも、ケースは読めばおしまいではなくて、内容についてのディスカッションに参加する必要があるので、授業中もアタマが働く状態で大学へ行かねばならない。で、そんなことをやりながら分かってきたことがあるので、ここで共有してみようと思う。
何より大切なことは、「一度自力できちんと通して読んでみよう」という考えをゴミ箱へ捨て、さらにゴミ箱を空にすること。これをやり始めると、終わりのない迷路にはまり込んだのと同じ状態に陥るからだ。しかも、一度読んだ後でどうせ設問に答える必要があったりして、結局何度もケースを読み直すことになる。酷い場合には、初めから気合を入れすぎた結果、後半になるほど集中力が切れ、肝心の部分だとか、意思決定が必要な部分だとかに注意が払えなくなる。
ほんとに良く言われることだが、初めに読むのは設問だ。まず、「何に答えるために文章を読むのか」を、アタマに叩き込む必要がある。これができれば次はグラフやチャート、Appendixを見る。これら図表というのは、とてもたくさんの情報をきれいに、しかもシンプルな英語で詰め込んだ芸術品なので、ここからビジネスの状況やタイムラインなんかはアタマに入れる。
次に読むのは、サブタイトル。ここからケース全体の校正をつかむ。私の経験としていちばん大切なのは、どこに鍵となる内容が書かれているかを把握すること。割と後半にある「これからどうしたものだろうか」とか書かれている箇所には、よく問題の概要が簡略に記されている。逆にダメなのは、市場の構造とか、企業の歴史などに気を取られて、設問に答える準備作業に時間を掛けてしまうこと。
サブタイトルから少し時間を掛けるところを決めたら、そのパートを読んでいくのだけど、このときに重要なのが仮説思考というか、「おそらくこういう内容が書かれているはずだ」という想定。それに合致する部分を探す。読んで考えるのではなく、考えを確認するために文章をスキャンすると認識するのが正しい。で、問題の答えを探して、ケースを前後にめくっているうちに、文章の内容は結果としてアタマに入るものだと思う。
ありがちな話なのだけど、「英語の勉強になるから」と初めから読んでいると、ほんとうに英語の勉強にしかならないのだ。どうせなら、中身をざっくりつかんで、ぶっちゃけあとは議論を通して英語を練習する方が効率的だと思う。
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