Thursday, March 31, 2011

3月30日(水) PART 2. ビクトリアダルコ語る。

ファイナンスの教官ダルコが、課題になっているケーススタディーや、昨日の小テストのこと、ファイナンスに関する質問全般を受け付けるセッションがあった。レクチャースタイルを想像していたのだが、明日のCSRの試験もあって集まったのがたった15人だったので、参加者でイスを寄せ合って座談会的な雰囲気になった。名して「ダルコ先生を囲む会」。

ダルコはハンガリー出身。プロフィールによれば、27歳で同国民主議会、金融・税制・予算委員会のチーフスタッフ。その後、同国の中央銀行民営化に関して中央銀行総裁へのアドバイザーを勤めていたとか。私には想像もつかない世界だ。国家の頭脳 (または少なくともその割と重要な一部) とかいう表現が当てはまるんじゃないかと感心。

そんなダルコが今日のセッションの中でフランクなおしゃべりをしてくれたのだが、「あなたはファイナンス数式に懐疑的なコメントをするが、ではどうやってビジネスの評価をするのか、利益をどうやって計算するのか。投資はどうするのか」などと中国人Boが聞いたとき、こんな内容が飛び出した。
  • 数式を学ぶのは、それが議論の前提になるための言語だから。でも数式なんか信じちゃダメ。
  • 数式は例えば標準分布(?) に基づいていますが、こんなのウソです。有り得ない。
  • ファイナンスはあなたたちがマネージャーとして事業を分析するために有用です。
  • お金を転がすのを仕事にするのはやめなさい。
  • 特に人のお金を転がすのはやめなさい。
  • 個人で資金の小さな投資をするのはやめなさい。
  • 個人投資家は常に損を出しています。熱心に取引をするほど損が増えます。
  • ファンドマネージャーとして大きなお金を運用するなら利益が出る可能性はあります。
  • でも、損を出したときビルの窓から身を投げずに済む方法をファイナンスは教えてくれません。
  • あなたの時間はお金を転がすためじゃなく、もっと大切なことに使いなさい。例えば、子どもを育てるとか。
もっと大切なこととして、子どもを育てるというのが出てきたのが、私にとってはやけに感動的だった。確かに、お金が必要であることは疑いの余地がないし、利益を出さないビジネスは社会にとって税金を吸収して雇用を生み出さない点で悪だと思う。だけどその上で私は、人間がただお金のために生きるのではなく、愛情を持ったり、尊敬を抱いたり、やりがいを感じたりと、人間らしくいられることは、何よりも大切だと思っているし、資産運用の利回りを計算することよりも、信念や価値観を人に受け継いでいくことの方が大切だと信じている。

ファイナンスの人たちと言うのは、傾向としてMoney-driven (お金が動機) で、その辺りにやりがいを感じられる人が多いのだと思っているので、ファイナンスの教官からこういう発言が出てきたことはうれしく思った。取引でお金を儲けるためだけの学習ではなく、自分がマネジメントするビジネスための学習にできるように、授業でセオリーや数式を習うことに対して、自分の取るべきスタンスが見えたような気がする。

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