Sunday, May 1, 2011

【HULT留学情報】 エグゼクティブトラック・プログラム


HULTのMBAを含む各修士課程には、エグゼクティブトラック・プログラムというものがあり、ウェブサイトにも紹介されている (http://www.hult.edu/mba-program/our-program/executive-track)。これは私がHULTに入学する前の年から始まった試みらしいが、出願者の中からキャリアや学歴、GMATの点数などに優れた人を選んで、さらに選考で選ばれた10-15名の学生にリーダーシップ・トレーニング的なものを提供するプログラム。

私見では、このプログラムには出願者の中から、卒業後にHULTのブランディングに貢献できそうなEmployabilityに優れた学生を囲い込む狙いもあると思う。プログラムの内容は、まだまだ整備中で変化しているが、結局どの程度参加者のキャリアのプラスになるかは、本人の取り組み方と、メンターとの相性によると思う。私は去年運よくこのプログラムの2期目に参加できることになったので、このプログラムについて少し紹介する。

1. プログラムの内容
  • 地元企業のマネージャーや起業家よるメンターシップ。
  • いくつかの特別セッション (自己分析、プレゼンテーション、セルフブランディング等)。
  • 人数が限定されたイベントへの参加権 (過去の卒業生が集まるパーティーなど)。
  • ソーシャライゼーション (メンバーでのパブめぐりなど)
セッションはおもしろい。参加者が14名しかいないので内容も濃い。また、キャリアオフィスやスクールのマネジメントとのコンタクトが増えるので、キャリアオフィスとの関係がちょっと良くなったり、困ったときにディーンだとかマネジメントダイレクターに気軽に相談にいけたりする (私はこれはHULTで過ごしやすくなる点で大きなメリットだと思う)。

イベントでいえば、最近キャリアオフィスが力を入れている (ように思う) のが、ボストン近郊にいるHULT卒業生とのネットワークで、過去に2000年の卒業生の同窓会や、ローカルで勤める卒業生を集めたイベントがあった。これは、卒業生30-40名程度が集まっていたが、ここに学生180人を来させると大混乱を引き起こすので、HULT側がETメンバーとボランティアとしてオーガナイズを手伝った学生だけを招待したもの。地元で勤める卒業生とのネットワークは貴重だし、とても重要なので、今後もどんどん強くしていってほしい。

いちばん大きな売りであるメンターシップ・プログラムは、まだ仕組みを整えている最中というのが率直な印象だが、私はとても幸運なことにそのメリットを大いに享受していると思う。私のメンターは、このブログにも登場するが、ボストン郊外の欧州系大手医療機器メーカーのシニアダイレクター。私は時折事務所を訪問して、いくつかのマーケットリサーチのプロジェクトに関わらせてもらっている。実際のビジネスへ自分の作成した資料を提出し、先日のようにプレゼンテーションを行い、フィードバックがもらえるので、異国の地で経験を積むという意味ではとても貴重な機会だ。

また、メンターは私の履歴書を他の部門やHRの担当者、その他知人にも転送してくれて、私の就職活動を応援してくれている。米国での就職には日本の場合に比べて、ネットワーキング (要するにコネ) がより重要で、企業側も誰かが推薦してくれる信用の置ける人を採りたいし、誰かを紹介するマネージャーも、優秀な人材を紹介することができるというのは自分の評価においてプラスに働くらしい。

誤解がないにしないといけないのは、コネがあれば使えない人物も良いキャリアを得られるのではないということ。良くない人材を紹介することは、紹介する側にとってもデメリットになるので、結局は、誰かに推薦してあげたいと思ってもらえるように、自分の強みだとかパーソナリティーだとかをアピールできるようにしないといけない。

実際のところ、メンターシップがうまく行っているのは、私を含めて2-3名 (14人中) といったところで、中にはもう全く連絡を取っていないとか、何度かランチを食べただけ、電話で話しただけ、というメンバーがほとんどである。メンターたちは基本ビジネスに忙しく、出張で飛び回っていたりもする。スケジューリングと、メンターシップに期待する内容について、初めのうちにきちんと合意を形成しておくのがベターだとつくづく思う。

2. エグゼクティブトラック選考参加のための要件。

  • GMATの600点台後半 (最低ラインが670くらい)
  • TOEFLの100点 (英語が母国語でない場合)
  • 最低3年のフルタイム実務経験

以下、あれば良し。

  • 国際性のあるバックグラウンド
  • 学業での成績
  • MBA+α の課題をこなせる能力とやる気

3. 選考方法

  • ドバイで行われるアセスメントセンター。

上記1と2を満たした学生に、HULT側からコンタクトがあり、アセスメントセンターに呼ばれる。これはHULTのドバイキャンパスで行われ、なんと航空券と現地滞在費はHULTが出してくれる (滞在はドバイHULTの学生寮)。

アセスメントセンターの内容は、グループワークとプレゼンテーションで、2時間おきくらいに違うメンバーと組み合わされたチームで、課題に対する解決策を考える。コミュニケーション力やリーダーシップ、協調性、創造性なんかを発揮することが評価のポイント。グループワーク間、アセスメントセンターのスタッフが様子をずっと観察していて、各人に成績をつけている。

また、休憩時間の周囲との関わり方なんかも観察されていて、例えば、人と会話ができないとか、同じ人種とばかり話しているとかは、よろしくない印象を与える様子。最終プログラムの終了後のレセプションでも、ざっくばらんな打ち上げではあるものの、ハメをはずすとしっかり見られているので注意。

4. 留意点というかなんというか

ところで、エグゼクティブトラックに関しては、良くない印象を持っている学生もいる。というのは、去年まではこの存在もウェブサイトなどでは公にされていなかったので、突然その存在が知られたとき、「なにか特別扱いをされているやつらがいるらしい」という風に捉えられたため。また、優秀な学生の中にも、出願時期が遅かったためETの選考が終了しており参加できなかったものがいるため、一部は選考過程がフェアじゃないと不満を漏らしていたりする。

HULTはビジネススクールとしてまだまだ成長中で、常に何か新しいことが始まっているので、こういったゴタゴタは避けられないのだろうなと思う。大事なのは自分の軸を持って、無駄な不満を言うことに時間を費やすのではなく、この若いビジネススクールのリソースを精一杯自分のものにしていくことだろう。とはいえ、私も自分からETについては進んで話さないようにしているのが実際のところだ (ブログに書くなんて持っての外だ。笑)。

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