Monday, May 30, 2011

【ボストン情報】ちょっと変わったごはん

最近、ちょっと変わっていて美味しいお店をいくつか発見した。忙しいMBA生活の中で、HULT内のバーLingoや、Cambridge Galleria内のフードコート、ボリュームとカロリー満点のCheesecake Factory、アメリカナイズされた中華P.F. Changに飽きてしまった人は、ちょっと気分転換に美味しいものを食べに行くと良いと思う。

1. HELMAND Restaurant (アフガニスタン料理)

(ウェブサイトより。実際にはビーフがもう少し大きかった)

HULTから歩いて10分とかからないCambridgeの1st Streetにある。ケンブリッジガレリアを越えた次のブロックには、この店と隣のタイレストランが並んでいる。このタイも美味しくて過去に何度が足を運んだが、レアなせいもあってインパクトではこのアフガン料理の勝ち。
アフガン料理と聞いて当初全くイメージが沸かなかったのだが、レバノン料理に少しインドのスパイスの影響が加わった感じ、というのが食べてみての印象。ラムやビーフを大きな釜で焼くので、肉類はとても美味しい。全般的に野菜も多くてヘルシーだし、付けあわせがライスなのもお腹が落ち着いて良い。3名で行ったとき、前菜を3人で分けて、メイン各1品、ワインをデキャンタでもらって、1人当たり$30 - 40。

HELMAND
143 First Street, Cambridge, MA 02141
http://www.helmandrestaurant.com/


2. RANGZEN Tibetan Place (チベット料理)

Rnagzen Cambridge Tibetan Cuisine
店内の様子 ウェブサイトより。

Cambridgeのセントラルスクエアから徒歩5分。HULTからKendallまで、朝夕に青いバス ($2) と、ガレリアから無料シャトル (20分毎) が走っているので、そこからは徒歩圏内 (10分程度)。HULTから歩けば、30分くらい。ボストンは交通機関があまり便利ではないので、いやおう無しに良く歩くことになる。
これもチベット料理のイメージがなくて、全部が精進料理のようなものだったらどうしようかと思っていたが、実際には肉類も魚介類も食べられる。食べ物は、餃子が美味しい。あと、油と化学調味料の少ない中華料理という感じ。炒め物、ヌードル、チャーハンなども、全部美味しかった。チベットらしいもので言えば、バター茶がある。少し塩味で不思議な飲み物。予算は4人でたくさん食べて1人$20だった。

Rangzen Tibetan Place
24 Pearl Street, Cambridge, MA 02139
http://rangzenrestaurant.com/
http://www.yelp.com/biz/rangzen-tibetan-place-cambridge


3. Tres Gatos (タパスバー)


(写真はYelp!より)

オレンジラインのBack Bayから39番のバスに乗れば行ける、こじんまりとしているけれど活気に溢れたタパスバー。Jamaica Plainは治安があまり良くないと聞いていたが、メイン通りを歩く限りは全然大丈夫とのこと。帰りは夜道だったが、特に危険な雰囲気も無し。
料理はイベリコ豚のハム ($12 訂正しました) がほんとに絶品。チキンのコンフィ ($10) や、エビのガーリック焼き ($10) も美味。赤ワインも美味しいものが揃っていた。本屋とレコード屋が併設されている (と言うかそちらが本業らしい) ので、今度はそちらも見てみたい。ドリンクが進むので、1人2杯飲んでしまうとして、予算は$30と少しか。

Tres Gatos
470 Centre Street, Jamaica Plain, MA 02130
http://tresgatosjp.com/

5月28日 (日) 散歩

先週くらいから、ボストンに夏がやってきている。これまで良い天気がやって来る度にいつも「ついに春が来た」と言っては、数日後だとか、酷いときには数時間後だとかに訪れるどんよりした天気裏切られ、クローゼットに仕舞いかけたジャケットを結局また引っ張り出すというパターンが続いていたのだが、この1週間くらいは、半そでで出かけられる陽気が続いている。

日曜日、気分がよいのでチャールズリバー沿いを散歩してきた。セントラルスクエア近くのFlourというカフェで、ローストラムとクコの実が入った美味しいサンドイッチのランチを食べた後、ドームのデザインが素敵なMITの図書館の前を通って、チャールズリバーにたどり着く。


HULTは、MITやハーバードと同じケンブリッジに位置している。対岸がボストン。ただし、一般にボストンというと周辺のいくつかの市を合わせた大ボストンエリアのことを指すみたいだ。ボストンの人は、ヨットやカヌーでチャールズリバーを漂うのが好きなようで、対岸には白い帆がたくさん見える。冬の間には、この広い川が完全に凍り付いてしまうのだから不思議なものだ (そうでもない、か)。


停泊中のヨット。航海に出たくなってしまう。大阪にいた頃も、1人で意味もなく自転車をこいで海を見に行ったことがあるが、水の流れの上をぷかぷかと漂う船を見ているとなぜか気分が癒される。ふとアタマをよぎったフレーズ、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」というのは、鴨長明が書いた方丈記の冒頭だが、まさかチャールズリバーを見ながら盛者必衰の無常について考えることになるとは。そんな気分転換も悪くない。


広い河を眺めて、少し写真を撮って、サイクリングを楽しむ人たちに追い越されて。私が歩くのは、せいぜい狭いサイドウォークだ。マイペースで行くしかないか。

Saturday, May 28, 2011

5月27日 (金) マーケ、HSA、中華壮行会、南米パーティー

8.30 am Solutions Marketing
3.30 pm HSA Meeting
5.00 pm Skype Conference
6.30 pm Farewell
10.00 pm Os BD

朝からソリューションマーケティングの授業があった。Thought Leadershipという少しつかみどころのない概念についての授業だ。意味を自分なりに噛み砕くと、「ある特定分野について知識を持っている者として、業界や関係者から優れた受ける承認」。例えばHULTはビジネススクールとしては珍しいNGO (Water.orgやクリントン財団) との提携でグローバルケースチャレンジを行ったことで、新しい取り組みを行い、ビジネスとソーシャルな問題を結び付けようとするグローバルなビジネススクールとしての認識を関係者から得たのかもしれない (それが得られた確証はないけれど)。

後半にはアクセンチュア (http://www.accenture.com/us-en/Pages/index.aspx) のはいパフォーマンス・リサーチセンターのダイレクターであるポール・ニューマン氏がゲストスピーカーとしてやって来て、自社のThought Leadershipへの取り組みについて語ってくれた。知らない分野の内容について早口で話されると、しばしばアタマが追いつかないのだが、とにかく企業としていろいろな取り組みがあることは分かった。

午後には、HSA (自治会) のミーティングがあり、スチューデントサービスやITとオペレーションの担当者などとHULTでの生活全般について話し合う。ここ数日、インターネットのサーバーに問題が起こっているらしく、この事情を聞いたりする。そのほかに、キャリアサポートに対しての学生の要望を伝えたり、また、卒業パーティーや卒業アルバムについても、学生が主体となって計画、運営するので、この予算や進捗に関する打ち合わせをしたりもする。

HSAに入っていることのメリットは、要望について自分の言葉で発信できるし、フィードバックを面と向かって受けられるので、とにかく納得感が高いということ。大きな組織では、なにがどうなっているのか分かりにくいと感じられることが多いと思うのだが、私は性格的にこれを極端に嫌う。あとは、私たちが受けとる情報を学生全体に共有していければいいのだが、今のところこれがあまりうまく行っていない。議事録は上がっているのだが、読んでいない人が多いし、読んだ上でも解決しようのない我侭ばかりを言う人もいる。

私たちの一年前にHULTでMBAを取得し、その後半年間のMFIN (Master of Finance) を先日修了、これから米国を離れることになる先輩S氏の壮行会。チャイナタウンでごはんを食べながら、米国での就職事情について聞くと、やはり状況は厳しくて、昨年、国籍もグリーンカードも無しで米国での就職を見つけた同級生は3人しか知らないとのこと。

私と同じように企業でインターンをしたあと、OPTを使って1年間滞在した学生たちも、これが本就職に当たってH1Bビザへの切り替えとなったときにうまく行かず、最近になって母国へ帰っていった人が複数いる。今のオフィスにもHULTの卒業生のインド人が1人働いていて、オフィスへ向かう電車の中で知り合ったのだが、彼もOPTが9月末で切れるようなので先行きが見えないと言う。私も今のインターン先に甘えないで、週末はもっと就職探しに時間を費やした方が良い。S氏がいちばん強調したのは、結局米国での就職において一番重要なのがネットワークだということ。誰かからの推薦なしに仕事を見つけることはとても難しいようだ。

その後、正直とても疲れていたのだが、ベネズエラのオスの誕生日パーティーへ向かう。最近、マーケのチームでも、HSAでも彼のパフォーマンスがあまり良くなくて、周りとの関係も少しギクシャクしているように思うので、こういう機会にリレーションをマネジメントしておくことはとても重要だと思ったからだ。結局、互いの人としての好き嫌いというのはチームのパフォーマンスに大きな影響を与える。世界中どこへ言っても変わらない。オスは元々とても気の良い兄貴肌なので、私にはない面倒見のよさや、みんなで何かをしようというアイデアをたくさん持っている。良い面を発揮してくれれば力になるのだが。

パーティーは正直大変だった。狭い室内2ベッドルームのマンションの1室で、騒音としか思えない音量で音楽を鳴らし、踊り、吠え、テキーラのショットを飲み干す。日本を離れてからいつも不思議に思うのは、どうしてみんなそんなにうるさいのが好きなのだろうということ。原始部族が日常を離れる機会である祭において、火を焚き、楽器を鳴らし、麻薬を吸入して、理性を失わせてトランス状態となるのと、同じような光景が目の前で繰り広げられているように見える。

12時になって隣人からクレームがきたにも関わらず、音量を下げてパーティーは続く。もちろん時間とともに音量は元通りになる。そんな中、私もテキーラを勧められ、初めは断っていたのだが、徐々に押しに負ける。部屋の中にいて断り続けるのは無理だ。結局3杯くらい飲んだ。ショットのあとにライムではなくオレンジを口にすると、ライムよりもたっぷりの果汁がテキーラの濃いアルコールを中和してくれるように感じた。

帰りは電車が終わっているのでクラスメイトがうちまで送ってくれた。とりあえずオスが私がパーティーに現れて、一緒に酒を飲んで騒いだことをとても喜んでくれているようで、次のミーティングではみんなで少し友好的な解決策に向かえるのじゃないかと思う。土曜と日曜は、少しゆっくりしながら、HSAミーティングの議事録、マーケティングのスライド作成、仕事探し、たまっているメールのレス、読書なんかをしたいと思う。

Thursday, May 26, 2011

5月25日 (水) 営利法人と非営利法人、等。

8.30 am Solutions Marketing
12.30 pm Social Innovation
7.30 pm Tibetan Restaurant

ソーシャルイノベーションの授業は、15名程度しか参加者がいないので、ディスカッションが活発で楽しい。教官のローレンスも、とても経験豊富でエネルギー溢れる女性で、いろんな質問を投げながら議論を活性化してくれる。

しかし今日の授業の前半では、経済発展と政府の役割についてムッツが少ししゃべりすぎた感があり、数人が醒め気味。よろしくない傾向だったので、「ムッツは昨日体調崩して休んだ分、今日は2日分しゃべろうとしているんです」と茶々を入れてやったら、クラスは笑いに包まれて良かったのだが、ムッツは気にしてしまったのか少し黙ってしまった。

後半の議論は、バングラデシュで事業を行っているBRAC (http://www.brac.net/) というNGOの活動の是非について。非営利法人であるこの団体が行っている事業は、農作物や海産物の販売、高級手芸品の販売など、バングラデシュの貧困層に収入を得る手段を提供する活動から、銀行の経営、大学の運営など多岐に渡り、イメージとしてはインドのタタグループのような財閥に近い。しかし、様々なプロフィットセンターを抱えていても、基本は非営利法人で、運営資金の一部は寄付金に頼っている。

参加者の中には、これはもう営利法人だと唱える者もいたのだが、私にとって重要な点は、このNGOの活動が営利か非営利かではない。着目したのは、これらの商業活動が株主にリターンをもたらすためのものではなく、地域の発展に貢献するものであるという点。市場があることで第一次産業に従事する人は収入を得ることができ、また市場では雇用が生まれる。大学で教育を受けられることは次の世代の人材を育成するし、銀行があることで新しいビジネスを生みだすのに必要な資金が手に入れられるようになる。バングラデシュは世界の最貧国の1つなので、そこに人々が自分たちの生活を向上させる機会を生み出しているBRACの活動は、組織形態がどうあれ、とてもすばらしいと思う。

私は強欲な営利法人と慎ましい非営利法人という単純なデュアリズム (二律背反って訳す?) 的な区別は間違いだと考えている。例えば英国にはCIC (Community Interest Company) という組織形態があり、コミュニティーへの貢献をミッションとする企業だ。社会的企業 (Social Enterprise, SE) と呼ばれる組織がこの形態をよく選んでいる。事業を通じて利益は出すけれど、これを配当として株主に還元するのではなくコミュニティーに貢献する事業に再投資することを条件として、税金の面で株式会社より少し優遇されるらしい。

また、CICに加えて、チャリティー団体というのも商業活動を行う。例えば、ロンドンブリッジ近くのBorough Market (バラマーケット http://boroughmarket.org.uk/) も、お店がオープンする週末には大勢の人で賑わい、そこから得られるお金で新しい設備投資を行い市場の拡大を行っている。こんな風に、地域貢献を目的としながら利益を生み出す商業活動というのは存在するのであり、営利法人は株主の方ばかりを向いて消費者を搾取するというのは、単純化しすぎた分類だと思う。

とはいえ、BRACが直面する問題は、事業があまりに多角化することで組織としてのアイデンティティがよくわからなくなることや、意思決定が遅くなることなどだと思ったので、一部単独で成り立つ事業から売却して、新しく産業振興につながるような事業を立ち上げていけばいいのではないかと提案。教官のローレンスもクラスの面々の一部もこのアイデアをとても気に入ってくれたようで気分が良い。しかし、ドイツ人のダニエルから、これを買収した後のマネジメントがとんでもない経営をしたらどうするのだと突込みが入ったのは、確かに当を得ているところもある。

夜、以前ベンチャーキャピタリストYokichiさんの呼びかけによる新年会で知り合ったマサチューセッツ大の研究助手YとエネルギーコンサルタントI氏、Yを介して知り合った脳と記憶の研究者T氏、Suffork MBAのAという日本人ばかりの面々でチベット料理を食べた。どんなものが出てくるのかと思っていたら、脂分と塩分控えめの中華料理という印象。とても健康的だし美味しかった。

Tuesday, May 24, 2011

5月24日 (火) マーケ、ソーシャル、バースデー

8.30 ソリューションマーケティング
11.30 HSAミーティング
12.30 ソーシャルイノベーション
3.30 facebookメッセージにおどろく

ソリューションマーケティングには、教官のハーレイが代表を勤めるSolutions Insight社のパートナーがゲスト講師としてやってきた。テーマはソーシャルメディア。面白いテーマだったのだが、授業のスピードが少しゆっくりで、流れに乗り切れない感じで残念。HSAミーティングは唐突にキャンセル。ムッツが風邪、ウェンディーがリハビリ、オスが空港で母親のお迎えだそうだ。ふぅん、と。

ソーシャルイノベーションでは、フィリップスの事例とP&Gの事例。ソーシャルイノベーションっていうのは何なのだと議論。BOPと呼ばれる収入の少ない顧客層をターゲットにする場合、ビジネスの仕組みとして彼らに雇用を生み出し、収入を増やしていくような仕組みがないとビジネスは持続しない。そして、細かいところに手が届く、ローカル政府やNGOとの連携が不可欠だと。昨日ケース分析を書き上げるためにケースをいつもよりしっかり読んだので、たくさん発言することができて気分が良い。

余談だけど、ビジネスというのは、利益を生み出すことも大切だが、物流や資源、そして雇用や組織を通じて、大げさじゃなく世界のあり方に影響を与えていることにも、もっと注目するとよいと思う。働き方、家族と過ごせる時間、石油の輸送とCO2の排出など、ビジネスの影響は大きいからだ。どこか途上国で取れたオレンジが何千マイルも旅しているのは、やっぱりサステナビリティーの面から見ればおかしい。Ashokaのビル氏も言っていたように、大きな枠組みでパターンを見ることができる視点が重要だと思う。

授業終了後にFacebookにログインすると、Wall上にハッピーバースデーメッセージが110件ほど着ていて笑った。なんであれ、祝われるのはよいものだ。

5月23日 (月) マーケティング、ゲスト、課題課題。

朝からソリューションマーケティングの授業。製品中心からソリューション中心の企業への転換をどのように図るかという内容。Best Buyというこっちのヨドバシカメラみたいな電化製品の販売店が、Geek Squadというアフターサービスを行う企業を買収して、販売からアフターケアまでを行える「ソリューション提供企業」を目指すのだけど、私にしてみれば、まず販売の時点でサービスが全然存在していないので、そもそも先に変えるべきところがあるだろうと思ってしまう。

日本の販売店なら、製品を見ていれば勝手に店員がやってきて、こちらの予算や需要などに合わせて、(なるべく高いものを) 選んでくれるが、こっちでネットブックを買ったときには、自分でスペックを調べて買う製品を決めた後、店員の手が空くまで30分近く待たされたからだ。修理は、お店を通じて製造メーカーに回すだけでよいから、接客をもう少し何とかすればいいのに。

そんなはなしをしながら、お昼ごはんをフィンランドのパシと食べたあと、マーケティングの課題を終わらせ、3時半からは夕方にやってくるゲストを迎える準備。マーケティングの最終プロジェクトのため、EMCというデータストーレージを初めとした、インフォメーション・インフラストラクチャーを提供する企業のマーケティング担当者が来訪。いまいち内容のつかめずにいたクラウドコンピューティングについて面白い話が聞けた。この企業も、ソリューション・プロバイダーとしての転換を図っていて、そこから付随するビジネス上の変化について分かりやすく説明してくれた。

終了はおよそ7時半くらい。ここからソーシャルイノベーションのケース分析の課題を終わらせ、締め切りが近づいていたルーム・トゥ・リードの翻訳をやって、翻訳その2に取り掛かったところで疲れてきたので家に帰ることにする。片づけをしているところで、日付が変わって誕生日になった。帰宅して、そばを食べる。美味。

Sunday, May 22, 2011

【雑文】英語の話

唐突だけど「英語が話せない」には2種類あると思っている。

1. 言いたいことが英語にならない
2. 何を言っていいのか分からない

私個人で言えば、HULTで勉強していて、2「何を言っていいのやら…」という状況は今でも良くあるのだが、1「英語で何て言おう…」は、あまり無いように感じている。ことばが出てこないときは、日本語でも何も出てこない。しかし、初めての一人旅の頃だとか、学生のときに英会話を習い始めたときには、これが逆だった。アタマの中にある日本語のフレーズをどうにも英語で表現できずに困った。

2. に関しては正直今でも、質問で返すとか、お茶を濁すとかいう方法しか取れずにいるのだが、1. に関しては、実はとても大切な学習機会だと思う。このような場面に直面するたびに、自分のスピーキング能力を向上させていくことができれば、自分のニーズにぴったりなフレーズばかりを学習できることになる。

そこで私が繰り返した英語を話すトレーニング方法は、次のようなものだ。

まず重要なことは、自分の伝えたい本当のメッセージが何なのかを突き詰めて考えること。これは、日本語で考える。要するに自分は、「何」が「どうだ」と言いたいのか、1つの文で伝えるならばどうなるのか。いちばん重要なメッセージを適切に伝えるシンプルな1文が出来上がれば、これを英語に直すのは難しくない。

注: これをやるときには上記のような「突き詰めて考える」とか形式ばった日本語を使わないことが大切。私なら「simplify (単純化する)」、「clarify (明確化する)」、あるいは単純に「find (見つける)」などの簡単なことばを選ぶ。

しかし、この問題点は当然ながら時間が掛かること。大体の場合、初めはタイミングを逃したりして、これを言えず仕舞いになってしまう。私は負けず嫌いなので、「こう言ってやればよかった」という後悔はいつまでも心に引っかかる。

そこで私は、この自分の言いたいフレーズを、次の機会で確実に使えるように練習する。悔しい気持ちが消えないうちに、ひとりでブツブツと繰り返す。傍から見れば怪しい人だが、これをやらないとまた同じ悔しい思いをするのだから、反復練習あるのみだ。

大切なことは、この自分の考えをシンプルなことばで伝える英文のパターンを、自分の中で蓄積していくことだ。すぐに口をつくくらい「自分のものにしたフレーズ」が増えていけば、自分の意見をいうための苦労はどんどん減っていく。この自分フレーズが完璧な英語である必要はないと思う。まずは伝わることが重要。うまく伝わらなければ、周囲の人にでも聞いて、間違いを修正してもらったり、もっと効果的に伝えるフレーズを身に付けていったりすると良いと思う。

私が、自分の微妙な英語でこのエントリーの内容を説明するならば、
In order to improve your spoken English, you should simplify your messages in Japanese, repeat them till you feel comfortable, and build the list of your own 'simple phrases' in your mind.
と、おおよそネイティブライクではないものの、冗長なエントリーをいちいち英訳するよりも伝わりやすい英文になる。なお、この文の間違いの修正や改善案は超歓迎。